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吹き替え

 さて今日もえらい軽いお仕事終わらせ、ちゃんと始末もして、終わった後は関係者を乗せてのドライブ、ここで「恐ろしいくらいの安全運転だ」といわれた「模範な」私。その後はプールに行って、このお話を書いています。そんな今日は火曜日、映画のお話。今週は「番外」ということで、こんなお話です。
(これ、アンタが「模範」というんなら、現世で犯罪というものは起こらへんはずなんやけどね、ミーシャ。)

 映画の「吹き替え」、映画館で見るもの、テレビで見るもの、DVD(ビデオ)で見るもの、同じ人を色々な人がやっています。でもよ~く考えると「なぜ、吹替が付くの?字幕を付けときゃいいんじゃない?」という疑問は大なり小なり皆さん、お持ちです。では、なぜついてくるのか?理由はこんなところで…。(ここではテレビとDVDとを例に考えてみましょ。)

 「TV放送吹替」
1.放送を前提としたもの
2.潤沢な予算
3.放送枠によるカットが前提
4.必要に応じて意訳

「ソフト用吹替」
1.VHSやDVD等に収録を前提としたもの
2.ソフトの収支見込に準じた予算
3.ノーカット
4.原語になるべく忠実な翻訳
 
 1の用途は大前提なので説明の必要はありませんね。

 2の予算は、仕上がりに関わってきます。「TV放送吹替」では、予算が十分にありますので、上手い声優さんやベテランの声優さんを起用することができ、キャスティングが豪華になります。当然、演技やせりふのクオリティは高くなります。声優さんもバラエティに富み、脇役の隅々に至るまで、説得力のある演技を楽しむことができます。

 一方、「ソフト用吹替」の予算は、収支を前提に考えますので、上限が決まってきます。恐らく、洋画劇場の全盛期の吹替制作予算に比べて、1/4~1/2くらいの予算が限界でしょう。脇役にまで有名な声優さんを配するのは予算的に難しく、新人が起用されることも多いです。ベテランと新人が混在することも多いので、演出家がうまく全体のバランスを取らないと、演技の差が気になることがあります。

 3と4は、密接に関わってきます。「TV放送吹替」は、放送枠に合わせたカットが前提です。(この辺は韓国ドラマを参考に考えてください。「冬ソナ」なんてカットされたシーンだけで1本ネタができます。)カットによっては、見せ場が削られたりストーリーがつながらなくなったりする恐れがあり、その点が「TV放送吹替」の最大の弱点でしょう。 従って、原語にないせりふを追加したり、意訳することによって、カットされた部分のストーリーを補完する場合が多くみられます。 さらに、TV放送は、流れてしまえば巻き戻しはできない"一回勝負"なので、視聴者に分かりやすく、聞き取りやすく、意味を凝縮したせりふを意図的に創りあげています。

 その一方で「ソフト用吹替」は、ノーカットなので、意訳やカット部分の説明のせりふは必要ありません。TV放送とは異なり、聞き取れなかったり、分からないところがあれば、巻き戻して再確認できます。もちろん、繰り返して観ることもできます。「ソフト用吹替」が、原語に忠実な翻訳になってゆくのは、ごく自然な流れでしょう。翻訳の面からいえば、ある意味正しい姿なのかもしれませんが、あまりに忠実になりすぎると、日本語として不自然な表現がどうしても出てきてしまいます。そのような場合は、観ていて違和感が生じることがありますので、日本語表現の工夫はやはり求められます。

 以上のことから、「TV放送吹替」=<限られた時間内で放送される作品を、視聴者に理解させ楽しんでもらうための吹替>であり、「ソフト用吹替」=<オリジナルにできるだけ近い翻訳をめざす吹替>であるといえるでしょう。つまり両者は、それぞれ異なる目的で制作され、異なる役割を担っているということです。同じ「吹替」でありながら、出来上がったものは<別物>であるという点を、まずはご理解いただけたかと思います。

 また吹替がその俳優のイメージを作る点もあります。これは「ロジャー・ムーアと広川太一郎」がその典型ですが、実際のムーアは比較的低い声でしゃべっていますが、吹き替えになるとえらいテンションの高い声でしゃべっている。そのため視聴者は、「この人って、こういうイメージですね。」と思う例がしばしばあります。

 ということで今日のお話はここまで。ちょっと長くなりましたが、今度見る時は、その辺もよ~く見てみましょ。
(ほれ、そんな長いだけの文章並べてんやないんよ、晩ごはん食べて、サッサと寝るんよ、ミーシャ。)

 

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