2つのシャシー

 さて昨日から1泊で実家に行って、いつもは夕方5時からの所、真昼間から手が震えはじめた後は客人を連れて墓参りに急遽行くことになって、ドタバタで帰ってきた私。車体は大きい、でも静かな静かな「里の夏」の中、今日は日曜日、ミニカーのお話。2枠目の今週は「F1」、今月はこんなお話です。
(これ、静かな静かなの次は「里の秋」やなかったかな、ミーシャ?)

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 今月はこちら。F1屈指のゲテモノ・マシン、ロータスの「88」(1981年)というモデルです。この当時はグラウンド・エフェクト全盛、しかしその結果、サスペンションをガチガチに固くしてしまったために、操縦性は恐ろしく悪い車になってしまいました。さらに、1981年から「可動式スライディングスカートの禁止」と「最低地上高60mm」というレギュレーションが導入されることになりました。この条件ではベンチュリ構造と路面との間に隙間が生じて、グラウンド・エフェクトが減少してしまうことが明らかでした。

 そこで策士コーリン・チャップマンはこんなことを考えました。
「メカニカルシャシーのサスペンションと空力シャシーのサスペンションを分けて、それぞれに最適なサスペンションにしちゃえば理想的な効果を得られるんじゃない?」
 それを具現化したものが、この「88」でした。端的に言うと、メインの(メカニカルな)シャシーのサスとは別に空力シャシーが存在したのです。それをメインシャシーのサスペンションアームに小形のスプリングダンパーを介して結合することでダウンフォースを直接タイヤだけに伝えることにしたわけです。 結局のところ、ダウンフォースは地面と直接接しているタイヤにだけ働けばいいわけですから、これは非常に理にかなっていると言えます。

 「こりゃ、イケんじゃない?」とガッツポーズのコーリン御大、ところが、完全に度胆をつかれた格好のライバルチームの猛烈な反発にあい、結局FISA(現FIA)に第2シャシーは可動空力部品であると判定され、決勝への出場を禁止されてしまったのです。チャップマンも空力的付加物の可動を禁止するレギュレーションに関しては、88の問題になるであろうことは最初からわかっていました。それを出走させるにはそれなりの主張(勝算)があったのです。それが実は「ツイン・シャシー」という名称にまで現れているのです。

 まずは空力部品の可動を禁止する条項を見てみましょう。

 『空力的な効果を生じるいかなる部品も車体のバネ上に固定されなくてはならない。』

 つまり空力に関係するウィングやベンチュリーは車体のバネ上、つまりサスペンションを介して支えられている車体の部分=シャシーに固定されてなければならないということです。ここでもう一度この車を見てみましょう。空力カウルは「バネを介して」基本シャシーのサスペンションアームに結合されています。 ここで、基本シャシーの存在を忘れてみましょう。そうすると、この空力カウル自体が小形のスプリングダンパーユニットとアームによって四輪に保持された形になっていませんか?つまり、この小形のスプリングダンパーをサスペンションと解釈すれば、この空力カウルはバネ上に固定されている車体=シャシーと解釈できないだろうか?これがチャップマンの「ツインシャシー」の論理なのです。

 とはいえ、この車はその「ツイン・シャシー」のみがクローズアップされていますが、実は意外な所でも有名になります。それは「カーボン・モノコック」を採用したことです。F1でカーボン・モノコックを初めて採用したのはジョン・バーナード作のマクラーレン・MP4ですが、軽量で高剛性のカーボンファイバーをモノコックに使用しようという発想は、ジョン・バーナードだけのものではなく、しっかりとロータスも採用していました。 しかも88が採用したカーボンファイバー・モノコックは、アルミハニカム(芯材はアルミ板)ベースのマクラーレンのものに対し、より高度なノーメックスハニカム&ケブラーベースだったことからも、ロータスの先進性がわかるでしょう。ただ、一体整形であったマクラーレンの方式に比べ、一枚のカーボンファイバーシートをアルミのバルクヘッドの周りに畳み込んで行くロータスの方式は形状が単純なものに限られ、一体整形の技術が向上するに従って時代遅れになっていきます。 しかし、この方式を採用した最後のマシン、1988年のロータス100Tに至るまで、全損したモノコックは一つもなかったといいますから、相当強度の高いモノコックであったことは間違いありません。 (一方、マクラーレンMP4は「サーキットの解体屋」チェザリスの手によって、24台のモノコックが全損してます。)

 ミニカーはサンクスのロータスF1(2009年)から。そして今日も出たのよ、詳細はこちら。
車名          88

デビュー        1981年
全長          4260mm
全高          1016mm
全幅          2172mm
ホイール・ベース    2692mm
トレッド(前)     1727mm
    (後)     1626mm
車重           580kg(燃料、ドライバー含む)

エンジン        フォード・コスワース DFV
形式          水冷レシプロ V型8気筒 DOHC4バルブ
総排気量        2993cc
ボア×ストローク    85.7×64.8(mm)
Vバンク角       90度
最大出力        510馬力/11,400rpm
圧縮比         11.5
燃料噴射システム    コスワース社製 電子制御
点火システム      コスワース社製 電子制御

燃料          エセックス
オイル         エセックス

駆動方式        後輪駆動方式
変速機         ヒューランド社製 前進5速 マニュアル縦置き(+後退1速)
差動システム      ZF社製 リミテッド・スリップ・デファレンシャル

シャシー        カーボンファイバー・モノコック
サスペンション(前)  独立懸架 ダブル・ウィッシュボーン式プッシュ・ロッド
       (後)  独立懸架 ダブル・ウィッシュボーン式プッシュ・ロッド
ブレーキ        4輪ベンチレーテッド・ディスク
ステアリング      ラック・アンド・ピニオン
タイヤ         グッドイヤー
ホイール        スピードライン 13インチ
燃料タンク容量     

デザイナー       コーリン・チャップマン/トニー・ラッド
ドライバー       エリオ・デ・アンジェリス/ナイジェル・マンセル

 ということで今日のお話はここまで。今週の後半からはまたお休みですが、その間に終わらせられる分はさっさとケリを付けときましょということで今日の所はここまでに…。
(ほれ、暑いから無理せんようにね、ミーシャ。)
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